「ランタンには古い竹がいい。最低でも3年以上育ったもの。節が小さく、その間が長いものしか使えない。骨の曲がる部分を作るのが一番難しいんだ。竹の厚さで曲がり方が変わる。ランタンの形を丸にするのも三角にするのも、全てその厚み次第なんだ。」従業員達の作業を見守りながら、Huynh Van Baさん(68歳)は、温和な口調で話し出した。
「小さい頃から鳥篭なんかを作るのが好きでさ。それが高じて竹篭とかを作る店を出したんだ。1975年にお寺からランタンの依頼が来た。実物がないっていうんで紙に書いた絵をもとにして、みようみまねで作ったのが最初だったよ。」
象徴とはいうものの、ランタンの流行は観光客の増加と共に、ごく最近始まったもの。しかし、彼はそのはるか昔から、一人ランタンと向かい合ってきた。「最初はランタンの仕事なんてなかったよ。今と違ってお寺の飾りとして使うことがほとんどだったしね。1990年くらいかな? 買ってくれた人が持って帰りやすいように改良したんだ。いろいろ考えたよ、扇子みたいに畳むやつとか。でも失敗。結局、傘からヒントを得て、今の形が細くなる折り畳み式が生まれたってわけ。」
その頃ホイアンでランタンを売る店は1軒だけ。しかし、観光客が訪れだした1990年代半ばから急激に店が増えだし、あっという間に有名になっていったという。実はいまでも販売店がランタンを作ることはない。表面の布地を貼る、それは各店の仕事だが、骨組みはほとんどのお店が彼の所から買って行くのだという。
「まぁ、趣味みたいなもんだからね。まだまだ作り続けるとは思うけど、いつかは引退もしなくちゃいけない。だから今、2人の後継ぎを育てているんだよ。一人は息子、もう一人はうちの職人の一人。腕利きだ。彼らが俺のランタンを引き継いでいってくれると嬉しいんだけどね。」 そして彼は店の奥で働く従業員達をゆっくりと見回した。
情報源: www.hoianworldheritage.org.vn
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